有職五つ島間道(ゆうそくいつつしまかんとう)
Concept
五島美術館所蔵の不朽の名作「源氏物語絵巻」に展開される雅やかな王朝文化を象徴するものに、十二単や王朝継紙に見られる「襲(かさね)」の美がある。「紫の匂ひ」などと名付けられ、同系色の段暈しや幾重にも重ねられた色彩が醸し出す匂うが如き美しさは、平安人の繊細な美意識と華やかな宮廷生活を想わせる。
また、室町以降茶人たちが愛し珍重した縞の裂の美は、名物裂の一種として「間道(カントー)」と総称される。
一説に、海のシルクロードを経て、中国の国際貿易港広東(カントン)に集積され、我国にもたらされたことにその名を由来すると謂う。
昔茶人達は、外国を島と考え、島から渡来するものは、すべてシマモノであると喝破し、それがいつのまにか縞物に転じたといわれている。
今ここ渋谷の地に世界中のすぐれた文化を集めて、華咲かんとする「Bunkamura」にふさわしく、五つの大陸を島と呼んだ先人の国際文化交流の賜物「間道」の発想を現代に生かし、
「襲」の美を五彩の「縞」に採って、古典的有職織物に漂う王朝の美を機上に表さんとしたのが、この錦である。
龍 村 光 峯 述
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